ファッション業界に興味のある方であれば、「キムジョーンズ」についてご存じかもしれません。キムジョーンズはこれまでさまざまなブランドのコラボアイテムを生み出し、今やファッション業界で最も注目されているデザイナーの一人です。そこで今回は、このデザイナー「キムジョーンズ」についてご紹介します。
キムジョーンズのプロフィール【生い立ち】
キムジョーンズはどんな生い立ちを持ったデザイナーなのか、どんなきっかけでデザイナーになったのか気になる方もいるでしょう。ここでキムジョーンズのプロフィールに焦点を当てていきます。チェックしてみてください。
プロフィール
キムジョーンズは1979年にイギリスのバースで生まれました。生後間もなくから両親と共にエクアドルへ移住し、エチオピアやケニア、タンザニア、ボツワナなどアフリカなどさまざまな国で現地の文化を吸収しながら育ちました。
感性が育つ時期に、いろいろな国の文化や歴史、アートに触れたことが今のキムジョーンズを作り上げているのかもしれません。この幼少期の経験がキムジョーンズのデザイナーとしての感覚に影響を与えていることは間違いなさそうです。
14歳でクリエイティブな世界へ
キムジョーンズは、自分の感性を活かすにはクリエイティブな世界で活躍するしかないと、14歳の時に認識し始めます。そしてそこからどうしたらクリエイティブな仕事につけるのか、自身の道を模索し始めるのです。
一般的に14歳といえば、まだ自分が将来何をしたいのかはっきりと意識していない方も多いでしょう。しかしキムジョーンズは14歳で将来の自分はこうあるべきという未来像をしっかりと描いていました。未来像を夢見るだけでなく、しっかりと現実のものとしているところにキムジョーンズの芯の強さが感じられます。
キムジョーンズのプロフィール【来歴】
キムジョーンズの具体的なプロフィールについて確認してみます。キムジョーンズは Camberwell School of Artにてグラフィックと写真を学んだ後、Central Saint Martinsにてメンズファッションについて専攻し2002年に卒業しています。
在学中から才覚を表しており、卒業コレクションで発表したワードローブをジョンガリアーノが購入したという逸話もあります。そして自身の名前を冠したレーベル「キム ジョーンズ(KIM JONES)」を2003年に立ち上げました。
2004年:春夏ロンドンコレクションデビュー
2004年の春夏ロンドンコレクションで華やかなデビューを果たします。ロンドンコレクションデビュー後にイギリスのスポーツブランドであるアンブロとのコラボレーションによる、アンブロ・コントラスト・バイ・キム・ジョーンズ(UMBRO CONTRAST BY KIM JONES)を発表し注目を集めました。
この成功体験から、キムジョーンズは数々の有名ブランドとのコラボレーションを始めるのです。以後、どんなコラボレーションをしてきたのかチェックしてみましょう。
2005年:マルベリーとのコラボバッグ
2005年にはマルベリーとコラボレーションバッグを発売しました。マルベリーは1971年にイギリスで創業し、高級皮革を使ったバッグなどを中心にビジネスを展開しています。
英国ならではの美しいフォルムと機能性に優れたシンプルなデザインで、ヨーロッパを中心に根強いファンが多いブランドです。バッグだけでなくウェアもラインナップしています。
2008年:ダンヒルのデザイナー
キムジョーンズは2006年に英国ファッション協議会の「メンズウェア デザイナー オブ ザ イヤー(Menswear Designer Of The Year)」を受賞し、ファッション業界で大きな注目を浴びました。
そして2008年から2010年まで「ダンヒル(dunhill)」のクリエイティブディレクターを務め、メンズウェアとレザーアクセサリーのデザインを統括しています。
ダンヒルは1983年にイギリスで創業したファッションブランドで、スーツや時計、バッグ、アクセサリーまで幅広いビジネスを展開しており、ヨーロッパを中心にビジネスマンから厚い信頼を得ているブランドです。
日本では主にメンズ物を扱っている印象がありますが、レディース物もあります。老舗の高級ブランドのデザイン統括をしたということで、一流ブランドから一目置かれるデザイナーとしての地位を固めました。
2011年:ルイヴィトンのメンズデザイナー
2011年にパリの最高級ブランドである「ルイヴィトン(Louis Vuitton)」のメンズ部門のデザイナー、アーティスティック・ディレクターに就任しました。当時レディース部門の統括者は、マーク・ジェイコブスでキムジョーンズはルイヴィトンのレディース分野にはノータッチでした。
キムジョーンズはルイヴィトンにて、一流ブランドとは対極的な存在であるストリートブランド「Supreme」とのコラボを行うなど、大胆な発想でルイヴィトンの客層を大幅に広げました。しかしながら2018年1月の2018年秋冬シーズンをもって退任しました。
ちなみにキムジョーンズの後任には、ストリートクチュール系ブランドの代表格である「Off-White」のヴァージル・アブローが選任されています。
2011年が人生の転機に
この2011年のルイ・ヴィトンのアーティスティックディレクターへの就任が、キムジョーンズにとって大きな転機となった事は間違いありません。 キムジョーンズが行ったルイヴィトンでのコラボレーションは、ルイヴィトンのメンズ史上最も高い売り上げを記録し、輝かしい功績を残しました。
2018年:ディオールメンのデザイナー
ルイヴィトンを離れたキムジョーンズが次はどこを活躍の場に選ぶのかが注目されていましたが、2018年3月に「Dior HOMME(Dior Men)」の衣料とアクセサリー部門のアーティスティック・ディレクターに就任しました。ちなみに前任者はクリスヴァンアッシュでした。
キムジョーンズのプロフィール【コラボ歴】
ここでキムジョーンズのプロフィールの中でも、どんなブランドとコラボレーションしてきたのか、そのコラボ歴に焦点を当ててみましょう。
コラボ①キムジョーンズ×GU
手の届きやすい価格帯でありながらも、常に旬のデザインを追求しているGUともキムジョーンズはコラボレーションしたことがあります。2018年9月から始まったGUとキムジョーンズのコラボレーション第三弾である「キムジョーンズ ジーユー プロダクション」も日本国内で大きな注目を浴びました。
この企画では2008年に休止したキムジョーンズ自身のブランド「キム・ジョーンズ(KIM JONES)」にて2006から2007年の秋冬に出したデザインをさらに進化させたラインを発売しました。
アメリカやアメリカン・ポップカルチャーのコンセプトをアップデートした遊び心のあるデザインは日本のファンにも評判だったようです。
コラボ②キムジョーンズ×ナイキ
キムジョーンズはナイキともコラボレーションしたことがあります。2016年の「AIR ZOOM LWP(エアズームLWP)」、2018年の「AIR MAX 360 HI(エアマックス 360 HI)」はともに大好評で、続く第三弾は日本におけるハイテクスニーカーブームの火付け役と言える「AIR MAX 95(エアマックス 95)」でした。
AIR MAX 95の最大の特徴と言える人体を表現したサイドパネルのレイヤー部分は、定番のグレーグラデーションを採用しつつも、アクセントとなるミシン目が入り、レースループの配置にはオリジナリティが光っていました。
ヒールサイドにはさりげなく「KIM JONES」のロゴが入り、随所に散らばった細かいギミックがナイキのアイコン的スニーカーに新たな解釈を与えています。
スニーカーだけでなく、NIKEロゴを大胆にあしらったスウェットやTシャツをはじめ、シアサッカーのようなストライプ柄を用いた、ロングコートやパンツなども展開していました。
コラボ③キムジョーンズ×ルイヴィトン
キムジョーンズは2011年にルイヴィトンのデザイナーに就任し、マサイチェックと呼ばれるデザインを発表しました。このマサイチェックは、ルイヴィトンに昔からあるダミエ柄をマサイ族をイメージしてアレンジしたもので、幼少期にアフリカで暮らしたこともあるキムジョーンズならではの感性が新鮮でした。
発売当初はあまりにも大胆なデザインで日本ではあまり人気は出なかったものの、元サッカー選手の中田英寿が雑誌のカバーで着用したことにより、爆発的な人気商品となりました。
マサイチェックの商品は10年たった今でも一部マニアの間では貴重な商品となっており、中古商品がリサイクルサイトやショップなどで高い価格で販売されています。流行に左右されない柄なので、今着ても新鮮なデザインです。気になる方は探してみるのもよいでしょう。
コラボ④ルイヴィトン×シュプリーム
2017年にルイヴィトンとシュプリームがコラボレーションした商品を出したのを覚えていらっしゃる方もいるかもしれません。シュプリームはアメリカのニューヨークにて1994年に創業したファッションブランドで、スケートボード文化やヒップホップに影響を受けたアイテムがそろっていることで知られています。
一見イメージがかけ離れたルイヴィトンとシュプリームのコラボ商品のの立役者となったのがキムジョーンズです。シュプリームは、過去にルイヴィトンのパロディ商品を販売してルイヴィトンから訴えられたことがあります。
最高裁までいったものの、結局ルイヴィトン側からの訴え取り消しにより、シュプリームは難を逃れました。この時点でこの2社がコラボレーション商品を展開するとは誰も夢にも思っていなかったことでしょう。
しかしキムジョーンズの人脈とルイヴィトンのトップの心境の変化により、2017年にこの2社のコラボレーションが実現し、世界中の注目を浴びました。
日本ではYouTuberのヒカキンや三代目 j soul brothersの登坂広臣、今市隆二が愛用し、海外ではレディガガやジャスティンビーバーなどが愛用していることもでも有名になりました。
コラボ④ディオール×ナイキ
キムジョーンズは2020年にディオールとナイキのコラボレーションアイテム、エアジョーダン1ディオール( Air Jordan1 High OG Dior )を生み、話題を呼びました。サイドに施されたナイキのマーク内にディオールのロゴが光るこのアイテムは世界中から注目を浴び、2020年のスニーカー業界を騒がせました。
これまでAラインやYライン、ジグザグライン、パーティカルラインなど歴史に残るシルエットを生み出し、時代の先端を行くデザインを生み出してきたブランドの一つであるディオールと、スニーカーの定番ブランドであるナイキとのコラボレーションを企画したキムジョーンズの目の付け所はさすがです。
コラボ⑤ディオール×ステューシー
ステューシーというブランドをご存じの方もいるでしょう。ステューシー(Stüssy)はユースカルチャーから自然発生したブランドで、1980年代後半から1990年代初頭に掛けて、南カリフォルニアのサーフシーンから生まれたブランドです。
ステューシーはこれまでにあるようでなかった、新しいカジュアルウェアのルックとイデオロギーでアパレルの一大旋風を起こしました。
ディオールは2020年秋コレクションとしてショーン・ステューシーとのコラボレーションアイテムを発表しています。キム・ジョーンズが手掛けたシルエットに、カウンターカルチャーとサーフィンが交差した世界観を表現したショーン・ステューシーによるモチーフが巧みに組み合わさり、絶妙なデザインとなりました。
ちなみにステューシーはディオール以外に、ナイキやニューバランス、カシオなどといったブランドとコラボレーションをしたこともあります。
コラボ⑥ルイヴィトン×flagment design
ルイヴィトンは2016年4月にflagment designとのコラボ商品を発表しました。lafgment designは言わずと知れた、日本の裏原系ファッションの生みの親ともいえる藤原ヒロシが率いるデザイン集団です。
これまでリーバイスやナイキ、モンクレール、ネイバーフッド、グッドイナフなどといった有名ブランドと数多くのコラボレーションをしてきました。
藤原ヒロシとキムジョーンズはもともと知り合いだったということで、ルイヴィトンのデザイナーを務めるキムジョーンズとの話はスムーズに進んだようです。
ルイヴィトンとのコラボレーションは、ルイヴィトン史上初のダブルネームとなり、オープン当初、伊勢丹に設置されたポップアップストアに入るために4500人もの人が並んだそうです。
人気のあまり転売された商品も多く、定価34万円ぐらいのスタジアムジャケットが当時50万円で転売されたなど、社会的現象を引き起こしました。ユーズドアイテムでも、現在20万円ほどで売っているほどの大人気アイテムです。
キムジョーンズのコラボアイテムなら気軽に買える商品もある
今回はイギリス出身のデザイナー、キムジョーンズについてご紹介しましたがいかがでしたか?キムジョーンズが自身のブランドを展開していた期間は約5年と短かったものの、以後はディオールやルイヴィトンなどといった一流ブランドにてデザイナーとしての手腕を発揮しています。
通常ではなかなか手が出しにくい一流ブランドのアイテムも、キムジョーンズとのコラボレーションアイテムであれば気軽に買えるものもあります。
ぜひ今回の記事を参考にして、過去にキムジョーンズが生み出したアイテムはもちろんのこと、これからどんなコラボレーションアイテムが出るのか、チェックしてみてください。