映画「羊たちの沈黙」は、ハンニバル・レクター博士という、映画界でも際立った個性を持つ人物を中心に据えて描かれた作品です。この記事では、映画「羊たちの沈黙」に出演するキャストやあらすじ、ネタバレなどをまとめます。この映画に興味のある方は、ぜひ記事の内容を参考に奥深い世界を堪能してください。
目次
映画『羊たちの沈黙』の作品情報
映画「羊たちの沈黙」は、ジョナサン・デミ監督によるサイコサスペンスムービーです。日本では1991年6月に公開されました。2001年にはニュープリント版が公開されています。
映画『羊たちの沈黙』の主要キャスト
まずは、羊たちの沈黙に登場する人物を演じたキャストをご紹介します。有名俳優が勢揃いの顔ぶれをぜひチェックしておいてください。
キャスト①ジョディ・フォスター/クラリス・スターリング役
クラリス・スターリングを演じたのはジョディ・フォスターです。2歳の頃にCMに出演し、幼い頃から数多くのテレビ番組に出演し、映画デビューして間もなくマーティン・スコセッシ監督の目に止まり映画「タクシードライバー」ではアカデミー助演女優賞を受賞します。
「羊たちの沈黙」では通算二度目のアカデミー主演女優賞を獲得しました。その後製作と主演を務めた「ネル」でもアカデミー主演女優賞にノミネートされています。
キャスト②アンソニー・ホプキンス/ハンニバル・レクター役
ハンニバル・レクター役を演じたのはアンソニー・ホプキンスです。元はピアニスト志望でしたが、兵役を終えてからロンドン王立演劇学校で学び、舞台や映画を中心に役者としての幅を広げます。「羊たちの沈黙」ではアカデミー主演男優賞を受賞しています。
キャスト③スコット・グレン/ジャック・クロフォード主任捜査官役
#大ファンってわけじゃないけど映画で見かけると嬉しくなる俳優
スコット・グレン「ライト・スタッフ」(1983)
「レッド・オクトーバーを追え!」(1990)
「羊たちの沈黙」(1990) pic.twitter.com/ZjQCHD0RIg— pissa@kunn (@pissakunn) October 17, 2019
ジャック・クロフォード主任捜査官を演じたのはスコット・グレンです。新聞社のリポーターとして活動していましたが、作家を目指すようになり、その過程で対話の部分がうまく描写できないことを克服すべく演劇クラスに入ります。
それからはテレビや舞台、映画と活躍の場を広げます。映画「ライトスタッフ」に出演したことを皮切りに、個性派俳優としての地位を確立しました。
キャスト④テッド・レヴィン/バッファロー・ビル役
#羊たちの沈黙 の #バッファロー・ビル 役は #テッド・レヴィン ね。#ジュラシックワールド炎の王国 でも怪演してます‼️ pic.twitter.com/KCmeazhvE4
— はや (@Hayato_Ohno) July 16, 2018
バッファロー・ビルを演じたのはテッド・レヴィンです。さまざまな舞台の演出や出演を経験し、テレビに出演してのち「羊たちの沈黙」で連続殺人鬼の役を演じたのを機に一躍有名になりました。以後も恵まれた体格を生かして悪役を多く演じています。
キャスト⑤アンソニー・ヒールド/フレデリック・チルトン医師役
フレデリック・チルトン医師を演じたのはアンソニー・ヒールドです。現在は地元のシェイクスピア演劇祭に出演しています。映画「羊たちの沈黙」のほか、ジョン・グリシャム原作の作品やテレビドラマなどで活躍しています。
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映画『羊たちの沈黙』のネタバレあらすじ
それではいよいよ、羊たちの沈黙のあらすじをご紹介します。ネタバレを含みながらまとめるので、ラストシーンの結末を知りたくない方は途中までご覧になるのがおすすめです。
ネタバレ①猟奇的な連続殺人事件発生
とある猟奇的な事件がアメリカの各地で起きていました。その連続する事件では、どれも被害者が若い女性だったのです。さらに彼女たちは皮を剥がれた状態で川に遺棄されていました。
犯人は「バッファロー・ビル」と呼ばれ、FBIは捜査を続けていましたが、手がかりが掴めず難航します。そんな最中、FBIの訓練生として優秀な成績を誇っていたクラリス・スターリングに白羽の矢が立ちます。
行動科学派の上司、クロフォード主任捜査官より彼女に任せられた任務とは、これまでに9人もの患者を殺して食べたという、かつては天才精神科医としての地位をほしいままにしていた猟奇的殺人鬼ハンニバル・レクター博士に事件解決のヒントをもらいに行くというものでした。
しかし彼は、自分が認めた人物ではないとヒントを話そうとはしません。クロフォードが彼の元に出向いた際は、認めてもらうことができずヒントを聞き出すことができませんでした。そこで、かつて優秀な教え子だった彼女に任せることになったのです。
ネタバレ②クラリスがレクター博士に面会
クラリスはレクターの収監されるボルティモア州立精神病院へと向かいますが、そこでチルトン医師から警告を受けます。それは、レクターをまともな人間だと思わないようにすること、個人的な話は絶対にするなということです。
しかし、クラリスが目にしたのは紳士的な姿勢のレクター博士でした。知的な眼差しを持って彼女を見たレクターは、超人的な嗅覚により彼女の身に付けている香水やクリームの種類を言い当てます。
「なぜバッファロー・ビルは皮膚を剥ぐか」と質問されたクラリスは、「人を殺すことに興奮し、記念にとっておくのでは」と言いますが、レクターはまるで犯人は凡庸な人間であると言わんばかりに「私は違った」と反論します。
クラリスは、彼が高い知能を持つことで厳重に収監されていることを利用し、彼に嘘の提案を持ちかけます。それは、捜査に協力すればより環境の良い場所へ移すという物でした。
しかしそんな彼女の腹の中を見抜いているかのように彼はこう言います。「私が君にヒントを授けたら、君も私に自分自身のことについて教えるんだ。それなら協力する。」
ネタバレ③新たな犠牲者
レクター博士は、まずクラリスの過去のトラウマについて話すように要求します。クラリスはそれについて話すと、彼は満足気にじんのバッファロー・ビルの心理を分析し始めました。その末に、彼はこう話します。
「バッファロー・ビルはかつての私の患者に似ている」。そう言われたクラリスは意味を汲み取りかねますが、一つの質問に対しては一つしか助言をしないと言い、レクターはそれ以上話そうとしません。
一方、バッファロー・ビルは新たな人質を取ります。その対象となったのは上院議員の若い娘で、警察は早く事件を解決して娘を解放するよう圧力をかけてきます。クラリスは何度も病院へ通い、レクターから助言を聞き出します。
そんな彼女の姿を見た病院の院長チルトン博士らは、レクター博士の利用価値に気がつき、彼をなんとか利用することで出世の足掛かりにしようと企むのでした。
ネタバレ④レクター博士の交換条件
犯人に監禁された上院議員の娘、キャサリンは井戸に閉じ込められていました。その壁を見て彼女は絶叫します。そこには、これまでに被害に遭った女性たちが脱出を試みたときの爪が刺さっていたのです。
一方、チルトン博士はクラリスとレクターの話を盗聴し、クラリスがレクターに持ちかけた刑務所の待遇改善の話が嘘だと確認します。そこで、レクターを呼び出しクラリスの取引は嘘だと告げました。この時レクターは机の上にあった筆記用具を隠し持ちます。
そしてチルトンはレクター移送の手柄を自分のものにするため、上院議員に掛け合い身柄を移せるように裏で糸を引きました。狙うべくは自身の出世のためです。レクターは「犯人の名前はルイス。苗字は議員に直接話す」と言い、チルトンは彼をテネシー州メンフィスに移送します。
クラリスとクロフォードはこのことを知りますが、何も手立てがありません。レクターは誘拐された娘の母である上院議員に皮肉混じりに揶揄いながらも、犯人の名前とその特徴を話します。そして「服を大事にな」と告げるのでした。
チルトン博士は手柄を我が物にし、得意げにインタビューに答えていました。夜になり、クラリスがレクターの新しい収容先へ行くと、彼は広い部屋の中央に設置された檻に入っていました。さらに警備員が2名配備されています。
クラリスはレクターが議員に話した「ルイス・フレンド」という名について、「紛い物」という意味の綴り遊びだと指摘しますが、レクターは否定しません。
そして、彼女の幼い頃のトラウマである、屠殺される子羊の悲鳴を聞いたことで残っていた羊たちを助けようとし、保安官によって施設に送られたことを話します。
今でも羊たちの悲鳴を聞くというクラリスに、レクターは「キャサリンを解放できたらその声は消えると思うか」と質問しますが、彼女は「分からない」と答えます。
クラリスはトラウマを話した見返りに犯人の名前を聞こうとしますが、チルトン博士がやってきて話は中断となります。ただ「犯人が性倒錯者であること」「切実な欲求から犯行に出ていること」は聞き出すことができました。
クラリスが去った後、レクターは子羊のステーキを要求します。そしてチルトンの部屋で盗んでいた文房具を使って手錠を外し、食事が檻の中へ運びにきた警備員のボイルに襲いかかり彼に手錠をかけ檻に固定します。
さらにもう1人の警備員、ペンブリーがよそ見をしていた隙に彼の鼻を噛みちぎり、目にはスプレーをかけました。ボイルには警棒を振るいます。そしてベンブリーの顔の皮膚を剥がし、その身体をエレベーターに隠します。
ネタバレ⑤レクター博士の逃亡
レクターは警備員3名を殺して脱走しました。一方クロフォード捜査官は、精神病院で性倒錯者と診断された患者のところへ行きますが、空振りに終わりました。その頃1人目の犠牲者の周辺に犯人がいると睨んだクラリスは、家を突き止め犯人を射殺、キャサリンを助け出します。
その後しばらく時は流れ、クラリスの卒業式の折にレクターからお祝いの電話がかかりました。そして彼は「これから古い友人と食事する」と告げ電話を切ります。これは、暗にチルトンを殺害することを仄めかすものでした。
映画『羊たちの沈黙』の見どころ
羊たちの沈黙には、たくさんの見どころがあります。ここからは、この映画の見どころを3つご紹介します。映画を鑑賞する際は、ぜひ見どころに着目してみてください。
見どころ①アンソニー・ホプキンスの演技
まず挙げられるのは、主演のレクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスの怪演ぶりです。彼は役作りのため、実際に起きた猟奇的殺人事件を研究したと言います。さらに実際の刑務所を訪れ、有罪判決が下された殺人鬼の分析を行うほか、恐ろしい殺人事件の裁判を傍聴するといったことまでしたそうです。
レクター博士とクラリスの初対面のシーンでは、ジョディ・フォスター演じるクラリスの南部訛りを揶揄う即興演技を見せたそうで、彼女は思わず驚いたと言います。また、本来はオレンジの囚人服を着る予定でしたが、ホプキンスたっての希望でシーンによっては白い服を着用しています。
これは、恐怖の対象としての歯医者から着想を得たもののようです。また、彼はレクターを演じる際、友人を参考にしたようです。その友人は、周囲の人が恐怖を感じるほど瞬きが少なかったのだと言います。瞬きを少なくすることで、彼はレクターの強い目力をうまく表現しました。
見どころ②クラリスの捜査官としての成長
この映画では、女性捜査官が受ける男性社会からの抑圧が恣意的に描かれています。男性囚人や刑務官からのセクハラや、女性であるために性犯罪についての会話に入れてもらえないことや、FBIのトレーニングで彼女を含む女性捜査官が嫌がらせを受けたりするシーンなどがこれにあたります。
そこに現れるレクターは、彼女にとって父性を感じさせるようなキャラクターでもあります。つまり、この作品はクラリスがかつて警官だった父を失い、その後父と同じ道を進み、そこで出会ったレクターにトラウマから抜け出す方法を学んで立派な捜査官へ成長するという物語なのです。
そこには、クラリスの父親に対するファザーコンプレックスが読み取れます。レクターに注目の集まりがちなストーリーですが、実はクラリスが女性捜査官としてハンデを背負いながらトラウマから抜け出し羽ばたいていくという成長物語としての側面が強いのです。
見どころ③スズメ蛾の意味
この映画のポスターにその姿が見られる印象深い蛾ですが、作中ではバッファロー・ビルが殺した被害者の喉に、蛾の繭が詰め込まれて発見されます。レクターはこれについて「犯人の強い変身願望を象徴している」と読み解きます。
その蛾には「歯の頭」と呼ばれる、珍しいドクロ模様がありました。ただ、ポスターの蛾のドクロ模様は、自然界にあるものではありません。
これはかのサルバドール・ダリによる作品で、女性の裸体を使った人体トリックアートを合成したものなのです。人体を組み合わせて作ったこの作品を用いることには、連続殺人事件を示唆する目的も秘められています。
映画『羊たちの沈黙』は実話?
恐ろしくも目が離せない物語「羊たちの沈黙」ですが、これは全くのフィクションなのでしょうか。ここからは、この作品に登場するキャラクターのモデルとされる実在の人物について迫ります。
ハンニバル・レクター博士のモデル
レクターのモデルはアメリカの連続殺人鬼ジェフリー・ダーマーです。彼は一切の虐待を受けずに育ちましたが、父は家庭を顧みず、母は妊娠中の投与がきっかけで薬物依存症の状態に陥っており、ネグレクト状態だったようです。
少年時代から犬を殺したりと異常性の片鱗を見せていた彼ですが、大学進学の直前に初めての殺人を犯し、それからは立て続けに人を殺してはその人体を切断、冷蔵庫に保存するようになりました。しかし、彼が逮捕された時その冷蔵庫の中には人体の他に食料は見当たりませんでした。
実際、彼は人肉を食べていたことを自供しており、仔細な身体の部位を挙げてその調理方法や味付けについても話しています。被害者を食べることで、その人物が自分の一部になったのだと感じ安堵したようです。
バッファロー・ビルのモデル
バッファロー・ビルのモデルとなったのは、エドワード・セオドア・ゲインという殺人鬼です。彼が実際に手をかけて殺めた女性は2人ですが、彼の本当の猟奇性を物語っているのはその奇行です。なんと墓場へ足繁く通い、埋葬されたばかりの女性の遺体を掘り起こしては解体し食していたのです。
さらに、女性になりたいという願望を持ち、人間の皮を用いてランプシェイドを作ったり、乳首からベルトを作ったり、女性の顔のマスクを作ったりと異常行動を繰り返していました。ヒッチコックの「サイコ」も、彼から影響を受けたのだと言われています。
ジャック・クロフォードのモデル
ジャック・クロフォードのモデルとなったのはジョン・ダグラスです。彼はアメリカ空軍を経てFBIに入り、SWATのスナイパーとして活躍したのちは人質解放の交渉人となりました。
さらにFBIアカデミーで犯罪心理学を専攻してから、犯罪プロファイリング研究に深く携わることとなります。ドラマ「クリミナル・マインド」のギデオンやロッシも、ジョン・ダグラスがモデルとされています。
羊たちの沈黙は人間の本質に迫る映画!
猟奇的殺人鬼と捜査官の奇妙な関係を描いた「羊たちの沈黙」は、役者の怪演もあって今もなお語り継がれる名作となりました。これを機会に、ぜひ「羊たちの沈黙」を鑑賞し、その世界に浸ってみてください。
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