ストレスやショッキングな出来事をきっかけに心が壊れて、心身に変化が訪れるという方は少なくありません。しかし実際に心が壊れてしまう前にその前兆を自覚し、対策しないと精神疾患になってからでは遅いのです。そこで今回は、前兆となる症状やストレス解消法について解説していくので参考にしてみてください。
目次
心が壊れる前兆とは
まず、心が壊れるということはどのような症状や精神状態を意味するのか解説します。また、心が壊れていく前兆となる状態についても見ていきましょう。
心が壊れた状態を把握しておこう
心が壊れた状態というのは、なんだか精神的に落ち着かなかったり、正気を失うような状況を指します。また、精神面だけでなく体調に現れることも度々あります。症状の現れ方は人それぞれなので、全ての人が共通して全く同じ状態になるとは限りません。
きっかけは様々で、何か一つの出来事が原因で一気に心が崩れて落ちていく人もいれば、日々の仕事や人間関係の悩みによってストレスが溜まっていき、徐々に精神面がおかしくなっていくという人もいます。
本格的に精神崩壊すると、何もやる気が起きず、ずっと自室に引きこもってボーっとしているなどといった状態になるため、周りの家族や友人も非常に心配するでしょう。
心が壊れる瞬間
心が壊れる瞬間というのは、体験する人と体験しない人がいるはずです。というのも、ストレスの蓄積で心が弱っていく場合は、決定的な瞬間というものを実感することはほぼありません。
しかし、家族や友人の死、恋人との別れ、事故、暴力被害など、あまりにも精神的ショックの大きい出来事を体験すると、その瞬間は突然訪れます。心の中で何かが崩れ落ちていくような感覚に陥ったり、心に大きな穴があいたような喪失感を味わったりするでしょう。
また、このように原因がはっきりしている場合は、その瞬間から心を閉ざしてしまい、今まで明るかった人でも周囲との関わりを極力避けたり、自宅など一人になれる場所から全く動かないなどといった行動が見られるようになります。
続く不調は心が壊れる寸前
一方で、決定的な出来事が原因というわけではなく、日々の悩みやストレスが蓄積されていくことにより精神的なダメージを受けている場合、その予兆として体調や気持ちに変化が訪れます。
例えば、体調面では体がだるい、動悸やめまいを感じる、食欲の低下などといった症状が現れる人が多く、精神面では憂うつ、気分が重い、すぐにイライラする、などの症状を自覚するようになるでしょう。
ただし、こういった症状は、何か嫌なことがあったりストレスを感じるようなことを他人から言われた時などに、誰にでも起こり得る抑うつ状態でもあります。通常であれば、1~2日、長くても1週間程度で消失していくのが特徴です。
他にも、ストレス発散として楽しいと感じることをしたり、友人との時間を過ごしたりすることで、すぐに解消されることもあります。しかし、心が壊れてしまった人や鬱病の人というのは、こういった症状を1日中自覚し、期間も2週間以上続きます。
そのため、長い期間が経っても解消されない、全く治る気配がないと感じる場合は、もう心が壊れる寸前なのかもしれません。
チェックしてみよう!心が壊れる前兆のサインは
続いて、心が壊れる前兆のサインを精神面と体調面の症状に分けて詳しく解説します。これらは、自分で気付くことができる人もいますが、自覚のない人も少なくないため、周囲の人が気付ける行動面の特徴についてもお伝えします。
心が壊れる前兆①精神面の症状
心が壊れる前兆となる精神面の状態には、複数の症状が見られます。以下でその症状の例を挙げてみましょう。全ての症状にあてはまらなかったとしても、半数程度の項目にあてはまる場合は危険性が高いため、注意すべきです。
- 集中力の低下
- 気持ちが落ち着かない
- ボーっとすることが多い
- 何をするにもやる気が起きない
- 楽しいという気持ちをほとんど感じない
- 常に落ち込みがち
- 常に不安を感じる
- 悪い方向にばかり考えてしまう
- すぐにイライラする
具体的に言うならば、テレビドラマや映画を観ていても集中できず全然内容が入ってこない、リラックスしている状態のはずなのに何だか落ち着かない、今まで楽しいと感じていた趣味などに対して全く興味が湧かない、ちょっとしたことでイライラして家族や恋人、友人にあたってしまうなどの症状を指します。
ダメだとわかっていても自分で感情のコントロールができなくなるため、自分の行動を制御したり、反対にやる気を起こさせたりすることが非常に困難となるでしょう。
心が壊れる前兆②体の症状
心が壊れる前兆として、精神面の症状を自覚する前に、体調面の症状として先に変化を感じる場合があります。鬱病のサインとも言える体の症状には以下のような特徴があるため、チェックしてみてください。
- 食欲が低下するor過食になる
- 性欲が低下する
- なかなか眠れないor過度に眠い
- 体がだるい
- 動悸がする
- 頭痛や肩こりがひどい
- 胃痛やムカムカが起こる
- 便秘や下痢を繰り返す
- めまいがする
- 口内が乾きやすくなる
このような症状は、内蔵や消化器、脳、整形外科的な病気にも現れることがあるため、精神面での不調とは気付かずに、内科などを受診して様々な検査を受ける人もいます。
例えば、胃痛や食欲不振が起こると、胃に異常があるのではと感じて胃カメラ検査を受けてみたり、便秘や下痢を繰り返すと大腸内視鏡検査を受けてみたりします。しかし、どこにも異常が見られないと原因を特定することができず、余計に悩むことになるでしょう。
健康診断や各部位の検査を行っても異常がなかった場合は、一度精神的なダメージや悩み事に関して目を向けてみることも大切です。
心が壊れる前兆③行動の変化
心が壊れる寸前の場合、自分で自分の精神面や体調面の変化に気付くことも大切ですが、周囲の人から気付いて指摘してあげることも可能です。この場合、以下のような行動が見られるようになるので、周りにあてはまる人がいたら注意深く観察してあげると良いでしょう。
- いつも明るい人が暗い表情ばかり見せるようになる
- 浪費が激しくなる
- 何をしていても落ち着きが無いと感じる
- 頻繁に怒られる(あたられる)
- 反応速度が遅い
- 飲酒量が増える
- 喫煙量が増える
- ギャンブルをするようになる
重要なのは、今までと明らかに違うと感じる行動をしているということです。いつも明るく笑顔だったり、頭の回転が速く賢い人が最近ムスッとしていることが多く、思考回路が停止していると感じた場合や、飲みに行くと大して話さずにひたすら飲み続けたりしていると、危険サインを出している証拠です。
心が壊れる前兆を見過ごしてしまうと
先ほどご紹介した、心が壊れる前兆の症状を自分自身や周囲の人が見過ごしてしまうと、当然心が壊れる日がやって来ます。そうなると、今までの人柄や表情が嘘だったかのように激変してしまう人もいるのです。以下で、心が壊れてしまったときに起きる行動について詳しく解説しましょう。
心が壊れてしまうと起きる行動
実際に心が壊れてしまうと、人はどのような行動や表情を見せるようになるのでしょう。以下で、精神崩壊してしまった人の特徴を挙げます。
- 顔つきが変わる(暗くぼんやりとした表情)
- 意味のわからないタイミングで泣き始める
- 基本的にイライラしている
- 周囲の目を気にする
- ミスばかりする
- 身だしなみを全く気にしなくなる
- 周囲に平気で暴言を吐く
- 人付き合いをせず引きこもる
このような症状は、明らかに「この人はおかしい」と誰もが感じるでしょう。心が壊れるということは、その人の表情や人柄まで変化させてしまうという状況であり、いつも笑顔だった人が全く笑わなくなったり、オシャレやメイクが好きだった人が外見に全く気を使わなくなることもあります。
こうなってしまうと、元に戻るまで長い期間を要することになり、精神面を回復させるのも容易ではありません。そのため、このような状態になる前に周囲が気付いてフォローしてあげるというのも一つの方法なのです。
心が壊れたら感情がなくなってしまう
大きなショックや過剰なストレスを感じることで集中力が極度に低下したり、常に無表情で反応が遅いといった症状が見られると、まるで「感情のない人」のように感じます。実際に、今まで普通にあった「嬉しい」「楽しい」「悲しい」などの感情が薄れていくのです。
これは簡単に言えば、感情が麻痺している状態であり、自分の心身が侵されるのではないかと知らぬ間に自覚し、感度や注意力を鈍らせることで危機をやり過ごしている状況だと考えられます。
見逃したくない心の限界サイン
ここまで、精神面や体調面に現れる心の限界サインについて解説しましたが、これらは大抵の人が自覚できます。今までの自分の持つ感情と明らかに違ったり、体調にわかりやすい変化が訪れるためです。しかし、これらを見過ごしたり「そのうち治るだろう」と放置してしまう人が多いのです。
その結果、心が徐々に壊れていき、気付いたときには取り返しのつかない状態になっていたということもあります。つまり、自分の気持ちや身体には日常的に敏感になり、心が出している限界サインを見逃さずに自分で対処するということが最も大切なのです。
限界に達して心が壊れる前にストレス解消を
最後に、心が壊れる前に自分自身で行えるストレス解消法について解説するので、ストレスを自覚していたり、なんだか最近心が落ち着かないと感じている場合は実践してみてください。
心が壊れる人のストレス解消法①しっかり休養する
仕事や人間関係の悩みでストレスや疲れを感じている場合は、しっかり休養を取ることで気分がリフレッシュすることもあります。休日も終わっていない仕事を片付けたり、自宅で仕事の時間を設けてしまう人がいますが、オンオフの切り替えが無いと知らぬ間にストレスが溜まっていきます。
休みの日は仕事のことを忘れ、家族との時間を過ごしたり、恋人や友達と遊びに行くことでストレス解消にも繋がるでしょう。また、日々の睡眠時間をしっかり取ることや規則正しい生活をすることも重要です。
寝不足は精神の疲れを招き、不規則な生活は自律神経のバランスを崩してしまいます。自律神経が乱れると精神疾患も招きやすくなるので、睡眠や心身の休養はとても大事なことなのです。
心が壊れる人のストレス解消法②嫌なことをしない
真面目で誠実な人ほど、頼まれた仕事は例え気分が乗らないことでも引き受けてしまったり、自分の許容範囲を超えた仕事量をこなしてしまうものです。しかし、嫌だと思うことは極力避けたり断る勇気も大切です。
責任感を持つことは良いですが、必要以上の仕事をすると自分で自分の首を絞めていってしまうでしょう。また、嫌なことを嫌と言えず引き受けてしまう優しい人ほど、鬱病になりやすいとも言われています。
もちろん仕事面だけでなく、プライベートでも嫌いな人と無理矢理関わったり、気分が乗らない誘いでも断れず行ってしまうと、知らぬうちにストレスは溜まっていきます。自分がやりたいと思うことと嫌だと思うことの区別をしっかり付けることも重要です。
心が壊れる人のストレス解消法③習慣を改める
生活習慣の乱れが心身に影響を及ぼすとも言われています。例えば、喫煙やアルコール、カフェイン、糖分、加工食品の過剰摂取、運動不足、野菜摂取不足などといった習慣は、精神面に悪影響となるのです。
こういった習慣を見直すことで精神疾患を治せたり、既に壊れている心理状態を改善することは基本的に不可能ですが、事前にストレス耐性をアップさせる効果は少なからずあります。そのため、体に悪影響を及ぼすこれらの生活習慣をまずは見直してみるのも、一つの方法となります。
心が壊れる人のストレス解消法④誰かに話を聞いてもらう
人に話を聞いてもらうというのも、実はストレス解消法として非常に効果的なのです。ちょっとした悩みやストレスに感じていることでも、溜まっていかないうちに家族や恋人、仲の良い友達など心を許せる相手に打ち明けてみましょう。
こういった人たちは、あなたの悩みを聞くことが面倒だとか、憂うつだなんて思いません。あなたが大切な存在だからこそ、親身になって一緒に向き合ってくれるはずです。しかし、中には親しい相手であっても、強がって弱音を吐けないという人もいます。
そんな時は、プロのカウンセラーなど自分のことを全く知らない相手に相談してみるというのもおすすめです。誰かに話すだけでも気持ちは楽になるので、一度話を聞いてもらってください。
心が壊れる人のストレス解消法⑤自立訓練法を行う
ストレスが溜まってくると、心がなんだか落ち着かずザワザワしたり、常に緊張しているような状態に陥ることがあります。そんな時には、自律訓練法を行うと心の落ち着きを感じることができ、夜は自然と眠りにつきやすくなるので、試してみましょう。
- 腹式呼吸を10回行う
ベッドに寝そべった状態でも、ソファに座った状態でも自由な態勢でOKです。 - 身体の感覚をイメージする
そのまま呼吸を行いながら、心の中で現在の身体の感覚をイメージしましょう。例えば「鼓動が早いorゆっくり」「手足が温かいor冷たい」「体全体が重く感じる」など、自分の体に現れている状態を感じていきます。
このように、当たり前のことをイメージしながら頭の中で言葉にしていくだけで、思考がゆっくりと落ち着き、自然な眠りに付けたり気持ちがリラックスしていくはずです。
あまり頑張りすぎないようにがんばろう
心の限界サインを自身の身体から感じ取ることができたら、まずはストレス解消法を試してみたり、誰かに相談するなど、何らかの対策を講じることが重要です。仕事や学業などを日々頑張ることも大切ですが、頑張りすぎないよう調整しながら、有意義な時間を過ごしていきましょう。