革財布のレザーには様々な種類があるのをご存知でしたか?人類は太古から動物の革を利用しています。そして革財布は現在の私達が手にする一番身近な革製品です。ここではレザーの種類やランク、それぞれの革の特徴についても解説致します。それぞれの特徴を知って革財布選びに活用してみましょう。
目次
革財布になる革素材の種類
ひとくちに革財布といっても革素材に利用される動物は非常に様々です。まず始めに、革素材は大きく2つに分類されることを解説致します。
種類①一般革
一般革は家畜動物の皮革です。具体的には牛・豚・羊・馬などの食用にもなる動物がこちらの一般革に分類されます。特徴は滑らかな見た目と肌触りです。
種類②エキゾチックレザー
エキゾチックレザーは家畜動物以外の皮革を指します。具体的にはワニ・ヘビ・エイ・ダチョウやオットセイなどの皮革ですが、エキゾチックレザーに利用される動物の種類は30以上ととても多数です。利用される動物によって見た目に独特の模様があります。
ワシントン条約で種の保存を重要視されてる動物もエキゾチックレザーに利用されてます。その為、希少性が高く非常に高価です。さらにエキゾチックレザーは問題となってる点もあります。
それは皮革を利用したいファッションのために、動物の命を奪うことが論理的に問題視されてる点です。そのようなことを疑問視する声が増えてきてることから、シャネルがエキゾチックレザー製品の使用を廃止したことで近年さらに話題になってます。
一般革とエキゾチックレザーの違い
大きく言えば、家畜動物の革かそれとも家畜動物以外の動物を利用した革であるかという点です。牛や豚といった一般革は食肉の副産物ともいえる部分があります。しかしエキゾチックレザーは家畜動物以外の革を利用します。
現在ではエキゾチックレザー製造のために飼育されるワニやヘビもいますが、元々エキゾチックレザーは野生に生きる動物を狩猟して原料となるレザーを調達していました。野生に生きる動物は数に限りがあります。そのようなことからエキゾチックレザーは希少動物の革として世の中に知られるようになりました。
革財布のレザー種類別の特徴【一般革】
一般革は家畜動物の皮革です。家畜動物なので、皮革以外にも食肉や乳なども利用される動物です。一般革に利用される動物の種類や特徴を見てみましょう。
一般革①牛革(カウレザー)
牛革は古くから革製品の王道で数多く流通しています。繊細な手触りで見栄えが美しいだけでなく、丈夫で長持ちすることも牛革が愛用される特徴です。
さらに、牛革の財布は経年変化が顕著に表れやすいので革製品独特の「革を育てる」という楽しみ方を持つことができます。そして牛革は牛の月齢や性別でさらに細かく区分されます。
一般革②馬革(コードバン)
馬革(コードバン)はその美しい表面と、牛革の約3倍の強度を持つことから「革のダイヤモンド」とも呼ばれます。馬革は農耕馬のお尻部分からしか採取できない高級素材です。
レザー表面の透き通るような光沢感はまさしくダイヤモンドの輝きと納得できるものでしょう。加えて、経年変化によりその光沢感は渋みを増した上品な輝きへと変化します。また牛革の3倍の強度を誇る馬革は硬度が高くハリがあるため型崩れしにくいのも魅力です。
高級感や上品さといった見栄えの美しさだけでなく、実用性の高いタフさも持ち合わせる馬革は活躍するシチュエーションを選びません。ビジネスシーンからプライベートまで、様々なシーンで愛用することができる質感を兼ね備えます。
一般革③豚革(ピッグスキン)
豚革(ピッグスキン)は唯一、飼育から皮革製品までを日本国内で一貫して自給することができます。特徴は優れた通気性です。豚革独特の表面に3つずつ並ぶ毛穴が通気性に優れる理由です。
豚革は通気性の良さから財布だけでなく、靴や靴の中敷きやウエアなどにも利用されることが多いレザーです。国内だけでなく海外でも人気が高く、スエード状に仕上げたピッグスキン・スエードと呼ばれる豚革はカジュアルシューズに利用して輸出されています。
一般革④山羊革(ゴートスキン)
山羊革(ゴートスキン)は薄くても丈夫なことが特徴です。というのも、牛革と同じ程度の強度を持ち合わせています。強度としなやかな弾力性も備えているため、型崩れがしにくいのも魅力といえます。
見た目は表面に凹凸があることが特徴です。この凹凸のおかげで摩擦に強くなります。財布としての利用でしたら、カバンの出し入れで何かと摩擦することがあっても傷がつきにくいのがメリットです。
一般革⑤羊革(シープスキン)
羊皮(シープスキン)は薄くて柔らかいのが特徴です。そして抜群の手触りから、高級衣類に利用されることも多くあります。羊皮は抜群の手触りを活かして、財布以外にもウエアやゴルフ手袋や帽子などにも利用されること多いです。
しかし繊維が荒く強度はそこまで持ち合わせていないことから、強度が必要な革製品にはほとんど利用されません。羊皮はシープスキン、一方で生後1ヵ月以内の子羊から採取される皮革をラムスキンと呼びます。
ラムスキンは素晴らしい触り心地です。高級と呼ばれる手袋や帽子といったファッションアイテムや羊毛つきのラムスキンは、ムートンコートにも利用されています。
革財布のレザー種類別の特徴【エキゾチックレザー】
次に紹介するのはエキゾチックレザーと呼ばれる家畜動物以外の皮革です。エキゾチックレザーに利用される動物は哺乳類、爬虫類など、生息する場所も陸地から海まで限定がありません。そのため、その皮革も様々な特徴を備えています。
エキゾチックレザー①ワニ革(クロコダイル)
ワニ革(クロコダイル)は革財布の中でも高価な皮革素材です。独特のウロコ模様はそれぞれ唯一無二の豊かな表情があり、エレガンスな高級感も演出します。人目を惹く華やかさに加えて、耐久性が牛革の約10倍もあることも特徴です。
腹部独特の模様である腹鱗板を活かした「肚(はら)ワニ」と、背中部分の大きなウロコを活かした「背ワニ」がありどちらも革の表情が豊かです。財布だけでなく、ベルトや時計バンドなどの小物類や婦人もののバッグにも利用されています。
エキゾチックレザー②蛇革(パイソンレザー)
蛇革(パイソンレザー)は蛇革にしか演出できない繊細で美しい斑紋や独特の鱗模様が特徴です。その見栄えの美しさを活かして革財布以外にもバッグ類、ベルト、靴などファッション性の高いアイテムに幅広く利用されます。
そのため蛇革は皮革ファッションに欠かせないレザーのひとつです。個性あふれる爬虫類素材のなかでも、特に幅広い年齢に受け入れられています。蛇革は革の取り具合でさらに名称があります。
背中を活かしたBelly Cut Type と、反対に腹部を活かしたBack Cut Typeがあります。蛇革独自の鱗以外に、ニシキヘビや海ヘビやコブラなどその種独特の模様があります。需要によっては斑紋を薬品で脱色する加工を行うこともあります。
エキゾチックレザー③エイ革(スティングレイ)
エイ革(スティングレイ)は美しい見た目が特徴的で、独特の小さい粒状のウロコがビーズのような輝きを放ちます。さらにエイはサメの近い種でもあるためサメと同じ楯鱗(じゅんりん)と呼ばれる表皮で硬いうろこに覆われています。
そのためエイ革は非常に硬く、エイ革を加工して製品にするには高い技術と経験を必要です。皮革製品に利用されるのはスティングレイ(アカエイ)です。スティングレイはガルーシャという名称を用いられることもあります。
スティングレイの皮革にビーズのような独特の輝きがあるのは、表皮を取り除くと「石」と呼ばれる小さい粒状のウロコがあることが理由です。このウロコはリン酸カルシウムからできています。
そしてこちらの「石」は背中の中央にのみやや大きめのものが数個縦に並んでいます。このユニークで神秘な特徴は「スティングレーハート」または「スターマーク」という呼び名です。このやや大きめの「石」はまるで真珠のようだとも表現されます。
エキゾチックレザー④鹿革(ディアスキン)
革製品といえば牛革というイメージを持つ方も多いはずですが、日本では飛鳥時代から鹿革(ディアスキン)を利用してました。その昔、鹿革は武具や生活用品などに幅広く利用されていたようです。現在も国内で鹿の個体数を管理するために鹿革を使用するブランドも増えています。
鹿革の繊維は非常に細やかことが特徴です。さらに通気性や吸湿性にも優れることから「革のカシミヤ」とも呼ばれます。
エキゾチックレザー⑤鮫革(シャークスキン)
鮫革(シャークスキン)は独特の凹凸があります。そして鮫肌という言葉で強調されるように、ザラッとした触感も特徴です。
また鮫は海の生き物なので耐水性に優れており、その皮革はしなやかで強度も抜群です。そのように丈夫さに優れる鮫革ですがそれだけではなく、独特の経年変化が愛好家から好まれます。長く使い込まれた鮫革は表面の凹凸が独特の輝きを見せます。
これは鮫革にしか出せない質感です。鮫革の財布は様々なメリットを持ち合わせてますが、希少性も高いです。鮫の養殖が難しいことに加えて、加工や染色の技術ができる会社が少ないことが理由として挙げられます。
エキゾチックレザー⑥象革(エレファントレザー)
象革(エレファントレザー)は丈夫で優れた耐久性が特徴です。野生的でタフな見た目に反して、繊細で優しい手触りをしてます。そして象革はワシントン条約により厳しく取引が制限されているため、象革の財布はとても希少です。
現在流通している象革は、ジンバブエのごく一部の象からのみ採取され加工されています。さらに象革は独特の経年変化を楽しめる皮革としても有名です。象革の財布は使いこまれることで、風合いが深まり銀面に上品な輝きを持ちます。
エキゾチックレザー⑦カンガルー革(カンガルーレザー)
カンガルー革(カンガルーレザー)は薄くて丈夫でありながら柔らかいことも特徴です。見た目は牛革に似ています。しかしカンガルー革の丈夫さは牛革の約2~3倍と言われてます。そして、カンガルー革の原産国はほとんどがオーストラリア産です。
近年は個体数管理のために捕獲数が増えているため、カンガルー肉や皮革製品の入手しやすさのハードルは低くなりつつあります。カンガルー革の薄くて軽量でありながらも丈夫な素材の良さを活かして、プロスポーツ選手のシューズ素材にも利用されるようです。
エキゾチックレザー⑧ダチョウ革(オーストリッチ)
ダチョウ革(オーストリッチ)は羽毛の跡が突起した「クイルマーク」と呼ばれる丸く突起した模様が特徴です。一方で、足の部分をなめした革はオーストレッグレザーと呼ばれます。こちらは爬虫類のうろこを思わせるような見た目が特徴です。
ダチョウは皮革だけでなく肉や羽毛も活用できることから、ダチョウの養殖は南アフリカを中心に活発に行われています。日本では身体が一回り小さいエミューが養殖を行われ、国産のエミュー革の流通も増えています。
エキゾチックレザー⑨アザラシ・オットセイ革(シールスキン)
アザラシ・オットセイ革(シールスキン)はアザラシやオットセイ、アシカなどの海獣から採取される皮革です。一般的にはシール革と呼びます。見た目は波打つようなホリ深い模様が特徴です。そして、高い耐久性を持つ皮革は弾力と厚みがあります。
アザラシやオットセイはワシントン条約で管理されている動物です。しかし、アザラシやオットセイなどの生き物は漁業等に被害を及ぼすため、北海道では個体数管理をするために毎年一定数を捕獲しています。
エキゾチックレザー⑩トカゲ革(リザードレザー)
トカゲ革(リザードレザー)はエキゾチックレザーのなかで最も一般的な素材です。比較的強度があるため幅広い皮革製品に利用され、革財布にも多く利用されます。
そしてワニやヘビにも挙げられるリザード革独特の美しいウロコ模様も特徴です。トカゲ革のなかでも、特にリングマークリザードと呼ばれる種類はキメの細やかとウロコのリング模様が魅力で人気があります。
エキゾチックレザー⑪猪革(ワイルドボアレザー)
イノシシ革(ワイルドボアレザー)は耐久性と耐水性に優れる丈夫さが特徴です。その丈夫さからヨーロッパではイノシシ革のことを「孫の代まで使える革」と呼ぶこともあります。さらに、ほとんど手入れを必要としないことも特徴です。
日本では鹿と同じく、個体数管理のためにイノシシも近年では捕獲数が増えています。少しずつではありますがイノシシ革を利用するブランドも増加傾向にあるようです。
革にはランクがある⁈
物の値段とは原材料費と工賃に利益を加えて販売価格が設定されます。それは革財布も同じです。そのため、ランクが高いといわれる革を利用した革財布は原材料費と工賃にかかる部分が高くなるので高価になります。ここでは革のランクについて解説致します。
革のランクとは
高級革財布は時間と人の技術をつぎ込んだこだわりの逸品として作られます。その本質は長く愛用して欲しいという思いからです。プレタポルテやオートクチュールなどの高級服に用いられる「素材は嘘をつかない」という言葉がありますが、この言葉は高級服だけでなく革財布にも当てはまります。
ここでいう素材の良し悪しは、時間と人の手をかけて作られてるか否か・希少価値があるかいないかです。革素材の場合はこちらの前者に当てはまります。
なぜなら高級革財布はタンナー(革の作り手)が時間と技術を費やしたこだわりの逸品です。そのこだわりによって「素材は嘘をつかない」の意味合いにもある高級ならではの良さを発揮します。
高級な革財布は使えば使うほどに深みといわれるような味が出て、さらに色艶や輝きも増してくることが特徴です。逆に安価な革は最初の状態で綺麗に見えても使えば劣化し、その劣化の速度も早いというのが特徴です。高級や安価といったランクとはそういった部分にあります。
高級ランクでおすすめの革素材
ここでは高級ランクでも特におすすめの革素材を紹介します。高級ランクといわれるだけあり、特に良いものばかりです。それぞれの特徴や性質を見て、革財布選びの参考にしてみましょう。
1位馬革(コードバン)
「革のダイヤモンド」と名高い馬革(コードバン)は素材としての良さを存分に備える高級皮革です。同じ革の靴とベルトを持つことは紳士の夢ともいわれます。
2位ワニ革(クロコダイル)
爬虫類皮革のなかでも美しく大柄な鱗模様を持つクロコダイルは「エキゾチックレザーの王様」です。牛革にワニ柄を型押しされるほどクロコダイルは人気があります。
3位ダチョウ革(オーストリッチ)
柔らかくしなやかでありながらも丈夫さも備えるダチョウ革(オーストリッチ)はワニ革に並ぶ高級素材です。ハンドバッグのイメージが強いですが、一式をダチョウ革で揃えることもできます。
革財布のお手入れ方法
お気に入りの革財布を良いコンディションで長く愛用するにはメンテナンスが必要です。メンテナンスと言うと面倒なことなのではと身構えてしまうかもしれません。
しかしこちらは、数か月おきに様子を見ながらお手入れを行うといった簡単なものです。簡単なお手入れですが、見栄えや耐久性も変わってくるのでぜひ確認してみましょう。
革素材の種類別の特徴を把握して革財布を選ぼう
今回は革素材の種類別の特徴や革のランクについてを解説致しました。革財布に利用される動物の皮革は実に多くの種類があることがわかりました。革財布に使われる皮革は動物性ゆえに全く同じものはありません。
それぞれ革の特徴を知ることで見た目だけではなく、あなたの考えや信念も汲み取った運命の革財布に出会うことが可能です。それぞれの特性を理解して、革財布選びに活かしてみましょう。