ファクトリーブランドとは、工場が立ち上げた独自のブランドを指します。この記事では、ファクトリーブランドの仕組みやおすすめブランドなど、ファクトリーブランドの魅力についてご紹介しています。コスパ良くワンランク上のアイテムが手に入るファクトリーブランドでおしゃれに磨きをかけてください。
ファクトリーブランドとは
服に付いているタグには、ブランド名が記載されています。では、その服を製造しているのはどのような工場なのでしょうか。ブランドが自社工場を持っていることはまれで、多くの場合生産を他の工場に委託しています。
ファクトリーブランドとは、その工場が独自に立ち上げたブランドのことで、工場自らがブランド名を付けて衣料品などを製造販売することを指します。
ファクトリーブランドの魅力ポイント♡
工場独自のファクトリーブランドには、いわゆる有名ブランドと比較してどのような魅力ポイントがあるのでしょうか。主な魅力ポイントは2つあります。
魅力①クオリティが高い
有名ブランドの委託を受けていた工場であれば、当然縫製などの技術力は高いでしょう。なぜなら、価格設定が高めな有名ブランドはその価格に見合った品質を保証しなければならないので、優れた技術力ある工場に製造を委託しているからです。
したがって、有名ブランドに信頼される優秀な技術力を持った工場独自のファクトリーブランドであれば、そのブランドが生みだす服も高いクオリティであることが期待できます。
魅力②コスパが良い
ファクトリーブランドは服を作る工場がダイレクトにブランドを運営しているので、通常のブランドがデザイナーに依頼して服をデザインする費用や、工場に縫製や加工を発注する業務が割愛できます。
つまり、ファクトリーブランドの服は有名ブランドのものと同じ品質でも、価格を大幅に抑えることができるのです。
ファクトリーブランドに欠点はある?
魅力的なファクトリーブランドですが、逆に欠点もあるのです。その欠点を補い進化しているファクトリーブランドもありますが、そうでない場合もありますので、ファクトリーブランドごとに欠点を見極めて購入を検討することをおすすめします。
知名度が低い
もともとの業態が工場なわけですから、マーケティングのノウハウを持っていないのがファクトリーブランドです。
良い服が出来上がっても、消費者に知名度を浸透させる広告宣伝をはじめとしたマーケティングスキルがないので、知名度が低い状態からなかなか脱却できないのかもしれません。
また、マーケティングのノウハウがあったとしても、広告宣伝費用をそれほどかけられないとなると、やはり知名度はなかなか上がってこないということになってしまいます。
デザイン力が劣る
服を構成する要素としてデザインはとても重要です。本格的なデザイナーにデザインを依頼しているファクトリーブランドもありますが、ごく限られているので、どうしてもデザインがいまひとつな服ができあがってしまいます。
有名ブランドの服と同じ素材、同じ縫製技術をもってしても、デザインがいまひとつだと服としての価値は低くなってしまいます。
ベーシックなアイテムであればデザインよりも品質が重視されるので、ベーシックアイテムに限ってファクトリーブランドで購入するというのもひとつの方法です。
おすすめのファクトリーブランド6選
ここからは、おすすめのファクトリーブランドをご紹介します。ファクトリーブランドでは、得意分野に絞ってアイテムを展開していることが多いので、気に入れば品質・コスパともに優れた服を手に入れることができます。
ぜひ、好みに合うファクトリーブランドを見つけて、ワンランク上のおしゃれを実現させてください。
ファクトリーブランド①BATONER
BATONER(バトナー)は創業から約60年、山形県の奥山メリヤスという工場のファクトリーブランドです。山形県はニットの産地として知られており、中でも奥山メリヤスは多くの有名ブランドの委託を受け、高品質なニット製品を生み出してきました。
バトナーのニットは、糸からニットの原型となる各パーツを編み上げるニッティング、ニッティングではみ出してしまった糸を始末するステッチングなど、大きく分けると5つの行程全てを世界でも有数の機械、繊細な手作業、職人の経験と知識によって行っています。
バトナ―の代表的なニットは、地元、寒河江市で紡績された毛玉ができにくいオリジナル糸を使用したリブ編みニットです。リブ編みは定番の編み方だけに品質の良し悪しがはっきりと表れますが、手に取ればその品質の高さが実感できる風合いです。
ファクトリーブランド②CURLY & Co.
CURLY & Co.(カーリー)は、香川県でカットソーを専門に作っている川北縫製が立ち上げたファクトリーブランドです。川北縫製の創業は1963年、伝統と由緒ある縫製会社です。
川北縫製は香川県の名産である手袋を中心に製造していましたが、2009年に地元のセレクトショップで企画やバイイングを行なっていた伊藤裕之氏をデザイナーに招いてカーリーを立ち上げました。
デザイナーを置くことでクオリティの高いデザインのカットソーを低価格で提供しており、その品質とともに高く評価されています。
代表的なアイテムは、天竺カットソーやジップアップパーカーです。どちらもデザインはベーシックながら高品質素材を使用し、細部にこだわりの詰まった非常にレベルの高い逸品に仕上がっています。
ファクトリーブランド③CIOTA
CIOTA(シオタ)は2019年秋冬に登場した新しいファクトリーブランドです。岡山県の縫製工場であり生地メーカーでもある、株式会社シオタが手掛けています。
2019年に登場してあっという間に大人気ファクトリーブランドとなったシオタですが、その理由は一般的なファクトリーブランドとは決定的に違うある特徴にあります。
シオタは生地メーカーでもあるので、原材料の調達・選定に始まり、生地製造、デザイン、縫製・仕上げという服作りの全ての行程をブランド内で完結できる、ファクトリーブランドならではの特徴を存分に活かしたまれに見るブランドです。
シオタでは自社で製造する生地の良さを最大限に活かすために、服のデザインは流行などではなく生地の持つ印象を第一に考えるとのことです。例えばコットンであれば最高級のスビンコットンをオリジナル生地にして使用しているというこだわりようです。
シオタの服は価格的にはファクトリーブランドとしては高めですが、その品質を知れば納得できる価格設定となっています。
ファクトリーブランド④PADRONE
PADRONE(パドローネ)は東京都足立区にあるシューズ工場「ミウラ」が運営するファクトリーブランドです。ミウラはコム・デ・ギャルソンをはじめとした有名ブランドや大手セレクトショップの靴を数多く製造してきました。
パドローネが誕生したのは2006年ですが、その品質の高さと、歩きやすさまできちんと考慮した靴づくりでまたたく間に人気となり、一時は人気の商品は品薄状態となるほどでした。
ベーシックな革靴は奇をてらったデザイン性は必要としないので、ファクトリーブランドとしてチームでデザインから製造まで取り組んでいます。
ファクトリーブランド⑤JOHNSTONS
創立は1797年というスコットランドの生地メーカー、JOHNSTONS(ジョンストンズ)は従業員は約700人、過去にはエルメスのカシミア製品を手掛けていたこともある、歴史あるメーカーです。
ジョンストンズは一貫生産にこだわり続けるファクトリーブランドとしても有名で、ニッティングはもちろんのこと、素材となる原毛の選別から紡績まで一貫して行っています。
ブランドを象徴するアイテムであるストールは自社で紡績しているカシミアを使用し、30以上の行程を経て誕生します。極上の手触りと美しいカラーが楽しめるストールです。
1960年にニットウエアの製造販売を開始し、感度の高いセレブリティに高く評価されています。一切の妥協を許さない徹底したモノ作りの姿勢が、200年以上もファクトリーブランドとして継続している理由といって間違いないでしょう。
ファクトリーブランド⑥WRAPINKNOT
WRAPINKNOT(ラッピンノット)は婦人ニット製品の生産で日本一を誇る 「ニットの町」として知られる新潟県五泉市のウメダニットのファクトリーブランドです。
ニット製品を完成させるには多くの行程を経る必要がありますが、五泉市にはニッティングやステッチング、加工といった各工程を専門とする工場が揃っていて、工場同士が連携し合うことで市内のみでニット製品を完成させることができるという地域的強みがあるのです。
ラッピンノットはデザイナーを外部から招待し、デザイン性も重視したニット製品づくりを行っています。代表的なアイテムは「奇跡のニット」というシリーズです。
「奇跡」と言うだけあって素材とデザインの融合が秀逸で、快適な着心地とニットの美しいシルエットの保持を実現させています。高級感のある佇まいであるにもかかわらず、ファクトリーブランドならではの抑えめの価格で手に入れることができます。